飯を食うことは罪悪である。特に年寄りはそうだし、若者だってそうだ。世間ではグルメというものに非常に肯定的だ。まずいものを食うよりはうまいものを食ったほうが良いに決まっている。まずい料理よりうまい料理のほうが尊いにきまっている。
それはしかし同じ食うならまずいよりうまいほうが良いという話であって、そもそも食うよりは食わないほうが尊い。そういう考え方はウパニシャッド哲学や仏教やジャイナ教にもあるし、武士は食わねど高楊枝とも言うし、ピューリタンやプロテスタントの倫理にもある。贅沢は敵、飽食は敵、デブは敵なのである。
運動したり体を鍛えたり、ボディビルしたり。それによって食の罪を帳消しにすることはできない。
昔書いた私の記事を見ても、食について書いたものはあまりない。まったくないわけではないから分類の都合上、食というカテゴリーも作ったけど、たぶんそういうことはあまり書きたくないのだと思う。
もちろん私も飯は好きだ。しかしそれを肯定しようという気持ちはあまりない。不可抗力で、やましいもののような感じがする。酒もそうではある。
いやいや。食や酒ばかりではない。年寄りは何もしないのが一番良い。年寄りはとかく暇を持て余して余計なことをしようとする。若いうちはいろいろ新しいことを試したほうが良いかもしれないが、年寄りがひまで退屈で仕方なくてなにかあたらしいことを始めてもろくなことはない。