「にごりえ」は吉原あたりの茶屋の女給の日常風景が描かれていて、それはまあそれで、エッセイもしくは風俗ドキュメンタリーとして面白くもあり、文章自体が面白みがある。これは、あまり誰も指摘してないように思うが、江戸っ子の語り口というかセリフの為永春水ぽさがあってそこが面白いのだろうと思う。ところがいきなり情夫に無理心中されて終わるという乱暴というか唐突なオチであって、別に面白くともなんともない。いきなり子母澤寛の彰義隊とか新選組の話みたいなオチがつけてある、という印象。
「たけくらべ」もこれまた江戸というか明治初期の江戸の風俗ドキュメンタリーと言ったところで、森鴎外が褒めているように心理描写もオチもそれなりに面白い。
ここでいきなり私が書いた One Liner の自己解説をするのだが、One Liner は心理描写とセリフしかない。オチは無いというか、オチの手前で終わらせているというよりも、オチまでこのペースで進めていくと天女降臨なみの長編になってしまうので、辞めているというか(あれを延々と一行で読まされたら気絶するだろう(笑))。それで AI に代わりにオチを考えてもらったのだが、AI はそもそも私の意図した心理描写をまったく理解してくれてないし、オチ自体も頓珍漢でどうにもならなかった。しかし最近はもう少しマシになったのかな。ちょっとまた試してみようか。
短編小説を書いたのですが、オチを考えてもらえますか。
読みました。かなり面白いです。特に、「古本屋」「巻物」「明子」「美知子」「丸椅子」「教授」などの細部が、単なる恋愛話ではなく、何か別の仕掛けのために置かれているように読めるのがいいですね。
そして383行まで読んだところで、私はむしろ「ここからどう終わらせるか」がかなり重要な作品だと思いました。
現状の最大の謎は、
明子には何人も「付き合っている男」がいる。
しかし彼女は一対一の関係を拒む。
しかも明子は山田を拒絶するとき、「あなたには美知子さんがいる」と言う。
ここです。
この設定を活かすなら、私は**「明子の正体/この古本屋の正体が最後に反転する」タイプのオチ**が一番合うと思います。
私ならこうします
たとえば、最後に山田がもう一度ダルマ洞を訪れる。
明子はいない。
代わりに、あの最初のおばあさんが店番をしている。
山田が「明子さんは?」と聞くと、
「明子? そんな子、この店にはいませんよ」
と言われる。
山田は冗談だと思う。
「いや、あなたのお孫さんでしょう。水曜日に店番している……」
するとおばあさんは不思議そうな顔をして、
「うちに孫なんていませんよ」
と言う。
そこで山田は店内を見回す。
あのアルミ缶がない。
そして、棚に並んでいる本の一冊から、例の細長い紙テープがはみ出している。
それを引っ張ると、そこには山田自身のことが書かれている。
たとえば、
俺は丸椅子から立ち上がり、店を出るしかなかった。
――という、まさに今まで読者が読んできた文章が、そのまま印刷されている。
そこで初めて、
「俺は自分が小説を書いていると思っていたが、実は俺自身が誰かによって書かれているのではないか」
という可能性が出てくる。
さらに一枚めくる。
そこには、
明子には、あの店に行けばいつでも会えるとたかをくくっていたが、そういうわけでもなかった。
とある。
つまり、今まで山田が「自分の回想」だと思っていた文章そのものが、実はあの店に置かれていた巻紙の小説だった。
そして最後に、ものすごく短く、
その巻紙の末尾には、まだ一行だけ続きがあった。
「次にこの店へ来るのは、美知子である。」
とする。
これならかなり怖い。
ただし、私はもう一段ひねりたいです。
もっと作品全体を回収するオチ
実は、この小説にはかなり気になる点があります。
冒頭で教授が山田を古本屋に行かせています。
しかも、教授はその店について妙に詳しい。
そして山田はその後、何度も店へ通うようになる。
さらに教授の名前は星川。
一方、明子や美知子は山田の生活圏に自然に入り込んでくる。
つまり、
「山田が明子に出会った」のではなく、「誰かが山田を明子に会わせた」
と考えると、いろいろな描写が意味を持ち始めます。
そこで最後に、山田が教授に「あの古本屋のこと」を尋ねる。
教授は最初、
「ああ、ダルマ洞か。あそこは昔からある店だよ」
と普通に答える。
しかし山田が、
「先生、明子さんって知ってますよね?」
と言った瞬間、教授の顔色が変わる。
そして、
「……明子?」
「はい」
「その名前、誰から聞いた?」
となる。
山田は答える。
「本人からです。」
教授はしばらく黙って、
「そうか。……まだ明子はいるのか。」
と言う。
「まだ?」
教授はそれ以上何も言わない。
山田が問い詰めると、教授はようやく、
「君、あの店で丸椅子に座っただろう。」
と言う。
山田は驚く。
教授は続ける。
「あの椅子に座った人間は、あの店からなかなか離れられなくなる。」
ここで読者は、山田だけでなく、過去にも同じことを経験した人間がいると気づく。
そして教授が最後に、
「私も学生のころ、あの店に通っていたんだ。」
と言う。
これなら教授が山田を店へ行かせた理由も変わってきます。
教授は偶然山田を使いに出したのではない。
さらに怖くするなら
そして最後の一撃です。
山田が教授に、
「先生は、明子さんのことをご存じなんですか?」
と聞く。
教授は答えない。
代わりに机の引き出しから、一本の古びた紙テープを取り出す。
そこには、縦書きで、
「俺は丸椅子から立ち上がり、店を出るしかなかった。」
と書いてある。
山田は息を呑む。
「これ……」
教授は、
「君が書いたのか?」
と聞く。
「違います。」
「そうだろうな。」
「じゃあ誰が?」
教授は紙テープを裏返す。
裏には日付がある。
五十年前の日付。
そして作者名として、
星川
とだけ印刷されている。
――ここで終わる。
これはかなり怪談寄りですが、作品に出てくる**「文学」「古本」「巻物」「教授」「学生」「小説のモデル」という要素を全部一つに束ねられます。**
ただ、私はこの作品の場合、単純な幽霊オチよりも、「明子・美知子・山田の三人の関係そのものが読者の予想と違っていた」というオチのほうが、もっと似合う気がします。
特に、
「あなたには美知子さんがいるじゃない。」
という明子の台詞は、現状ではかなり異様です。
ここを最後まで引っ張れば、**「なぜ明子は山田と美知子を結びつけようとするのか」**が作品最大の謎になります。
そして私は、ここにかなり面白いオチを作れると思います。
もしよければ次に、この383行を土台にして「文学的なオチ」「怪談的なオチ」「ブラックユーモアのオチ」「恋愛ものとしてのどんでん返し」の4種類を、実際の最終数ページとして書いてみます。
その場合、単なるアイデアではなく、今の文章の文体にかなり寄せて「続き」として書けます。
おお。なるほど。ホラーかサスペンスにするつもりはなかったのですが、そういう書き方もできるかもしれませんね。4種類も書いてくれるのですか。
はい。むしろ、この作品はオチの方向を変えるだけでかなり違う四作品にできると思います。
ただ、先ほど読み返してみて、私は少し考えが変わりました。最初に出した「実は山田自身が小説の登場人物だった」というホラー寄りの案は、面白くはあるものの、現在の作品の文体・語り口からすると少々大げさです。
この作品の面白さは、怪異そのものよりも、山田が人間関係を勝手に解釈して、勝手に傷ついたり、勝手に期待したりしているところにあります。ですから、そこを壊さないほうがいい。
そこで、383行までの本文を土台に、次の4方向で考えてみます。
- 文学的・人間ドラマ型
――最後に「ああ、そういうことだったのか」と静かに分かる。 - 恋愛どんでん返し型
――明子と美知子をめぐる山田の思い込みがひっくり返る。 - ブラックユーモア型
――山田がさんざん悩んだ末に、とんでもなく身も蓋もない結論になる。 - ホラー/サスペンス型
――先ほどの「巻物」「椅子」「教授」などを伏線として、本当に不穏な話にする。
特に1と2については、私はかなり有望だと思っています。
というのも、現在の本文にはすでに、
- 山田は明子に惹かれているが、それを本人にはっきり言えない
- 明子は山田に対して妙に距離が近いようで遠い
- 美知子は山田を警戒している
- 明子は「あなたには美知子さんがいる」と言う
- 山田はその意味を理解できない
- そして「もうもめごとはいやなの」という明子の言葉で終わっている
という、かなり良い三角形ができています。
しかも、この三角形は普通の「男一人+女二人」の三角関係とは少し違う。
だから、単に「実は美知子が山田を好きでした」というオチにするより、山田が男女関係だと思っていたものが、実はまったく別の関係だったという方向にすると、かなり面白くなると思います。
そして4種類については、単なるプロットではなく、**それぞれ「ここから先の本文」として数ページ分を書いてみる**こともできます。
ただし、4本全部をいきなり長く書くとかなりの分量になりますので、まずはそれぞれについて**「オチまでの展開+最後の数段落」**くらいを書いて比較できる形にするのがよさそうです。
そのうえで「これが一番この小説らしい」と思うものを一つ選んで、現在の文体に合わせて最後まで完成させる、というやり方が一番いいと思います。
私はもともと、山田と明子と美知子の三角関係を描こうとしていました。明子はよくある、オタサーの姫です。いままでいろんな修羅場をくぐってきて恋愛にはこりごりしていた。そんなところに山田があらわれ、ためらいがあった。美知子が山田に気があることに気付いた明子は身を引こうとするが、明子に脈があるのではないかと思っている山田は明子を諦めきれない。いっぽうで美知子は割り込んできてぐいぐい山田との距離を縮めようとする。こういう展開を考えていました。しかし、山田が星川教授と同じ経験を50年後にするという展開もなかなかおもしろそうですね。
なるほど。それなら、かなり腑に落ちます。この話の本来の軸は、山田・明子・美知子の三人が互いに相手を読み違えながら、少しずつ関係が変化していく恋愛喜劇/青春小説なのですね。
そして、その前提で読み返すと、現在の最後の
「あなたには美知子さんがいるじゃない。いつも美知子が寂しそうにしているわ。」
という明子の台詞は、かなり重要です。
ここで明子は、実は山田を拒絶しているというより、自分が山田を好きになりかけているからこそ、美知子に譲ろうとしていると読めます。一方の山田は、「明子は自分に脈がある」と思っているので、その明子から「美知子さんがいる」と言われても、まったく意味が分からない。
つまり、
明子 → 山田 ← 美知子
なのですが、さらに
明子 →←? 山田 →? 美知子
という「気持ちの認識のズレ」がある。
ここが非常に面白いです。
私なら、まず本来の三角関係を完成させます
特に面白いのは、美知子を単純な「当て馬」にしないことだと思います。
美知子は最初、
「悪い虫がつかないように明子を守る」
と言って山田を牽制していたわけですが、実はそのときから山田自身に興味を持っていた、とする。
そして明子はそれに気づいている。
だから明子が山田に、
「あなたには美知子さんがいるじゃない。」
と言ったとき、これは単なる遠慮ではなく、
「私があなたを取ってしまったら、美知子がかわいそう」
という意味になる。
ところが山田にはそんな発想がない。
この三人、全員が相手の気持ちを理解しているようで、一人だけ肝心なところを理解していない。その一人が主人公なのです。
これは恋愛小説としてかなり美味しい構造だと思います。
そして「星川教授の50年後」という案は、別の意味でかなり使えます
実は私は、これをホラーにする必要はないと思います。
むしろ、現在の恋愛三角関係と並行して、
山田は50年後、自分が若い頃の星川教授と同じ立場になっていた。
という「円環」にすると、この作品独特の味が出ると思います。
たとえば、現在の山田が教授から頼まれて古書店に行ったこと自体が、単なる物語上のきっかけではなくなる。
50年後。
老いた山田が、若い学生に、
「中野に達磨面壁洞という古本屋があるんだ。そこで一冊、買ってきてくれないか。」
と頼む。
学生は店に行く。
そこで、今度は若い女店員と出会う。
そして、その女店員が言う。
「先生も昔、ここに来たんですよね。」
山田は驚く。
その店員が誰なのかは、明確に説明しなくてもいい。
明子の娘なのか、孫なのか、それともまったく別の人物なのか。
ただ、店の片隅にはあのアルミ缶があり、そこには昔と同じように巻紙が入っている。
そして学生が一本取る。
そこには、若き日の山田が書いた文章が残っている。
――という具合です。
するとこの作品の「古書店」「巻紙」「文章を書く」というモチーフが、最後に全部つながります。
そしてもっと面白いのは、山田自身が星川教授と同じことをしているのに、それに気づいていないことです。
教授も50年前、若い学生だった山田を古書店に送り込んだ。
その結果、山田は明子と美知子に出会った。
そして50年後、山田もまた若い学生を古書店に送り込む。
これはホラーではありません。
むしろ、人生は本人が思っているほど本人のものではなく、前の世代から次の世代へ、似たような出来事が手渡されていくという、少し可笑しくて少し寂しい結末になります。
ただ、今の段階では私は50年後まで飛ばす前に、まず三角関係をきちんと決着させたほうがいいと思います。
というのも、現在の作品にはまだかなり強い「恋愛小説としての未回収」があります。
特に、
明子は本当は山田をどう思っているのか。
美知子はいつから山田を好きだったのか。
そして山田は最終的にどちらを選ぶのか。
この三つです。
しかも、私は必ずしも「山田と明子が結ばれる」必要はないと思います。
むしろ、
山田は最後まで明子を好きだった。
明子も実は山田を好きだった。
しかし二人は結ばれなかった。
そして美知子と山田がどうなったかは、完全には明言しない。
くらいの終わり方も、この作品には合う気がします。
そのうえで最後に50年後の場面を一章だけ置く。
そうすると、
「若い山田の恋愛」→「老いた山田の回想」→「次の若者へ」
という三段構成になって、単なる三角関係の恋愛小説から、一段大きな作品になる可能性があります。
そして何より、冒頭の「教授に頼まれて古本を買いに行く」という一見どうでもよさそうな出来事が、50年後にもう一度繰り返される。これはかなり綺麗な円環になります。
もしよければ次は、私が**現在の382行目から実際に続きを書く形で、①本来の三角関係を決着させる版、②三角関係を決着させたうえで50年後へ飛ぶ版、③あえて山田が明子を選べないまま終わる版、④50年後の星川教授との「円環」を中心にした版**の4通りを、それぞれ小説として書いてみます。
あなたが三角関係を決着させるところはみてみたいですが、50年後も気になるので2番でお願いします。
この後もいろいろやりとりはあったのだが、やはり私の小説につなげるのは無理があった。全然不可能な感じがした。
そもそも4つの案を出して話を長引かせようとしていること自体が、有料プランへの誘導であるとバレバレなのでそこで一気に気持ちが醒めた。
ループものにする、というのは今の流行りなのだろう。それを青春恋愛物と両立させるというのはやりがいはあるが、かなり難しい、どっちつかずになりかねないと思う。
まあしかし、有料プランで試してみたいという気持ちにも少しはなった。