見切り

私が公務(?)というか本業(?)というか、ともかくそれまで自分がやってきた仕事に見切りをつけて、趣味の仕事(?)というか個人的な仕事というか、和歌のようなものに本腰を入れ始めたのが 2009年くらい44才の時だった。小説をめったやたらに書き始めたのもそれ以後だし、藤原定家の本を書かせてもらったり、ヨハンナ・シュピリの初期作品集など翻訳をやったりもした。32才の時に転職してから私の人生は全然違う方向へ向かい始めたのだが、46才で大病を患った後はほぼ全然違う、もうひとつの人生みたいになっていた。そういう意味では絵は子どもの頃から描いていたし、和歌は18才くらいから詠もう詠もうと努力していたので、今もあまり変わらずに続いている趣味であって、あとどのくらい生きるか知らないがたぶん死ぬまで続けると思う。

映画のようなものはとうてい一人では作れないのだが小説ならば一人でものすごく壮大な話も作れると思い、小説を書いていたのだけど、最近は AI に頼めば自分の小説を原作に映像作品くらい作れるんじゃないか、すくなくとも、挿絵くらいは全部描き直せるんじゃないかなどと思ったんだが、いい加減疲れてきた。まあ無理だなと思い始めた。

初出・初版一覧 など見るに特務内親王遼子もまた 2013年頃に書いている(この年 kdp が始まった)。遼子もまたそれなりに思い入れのある作品だが、最初から挿絵をCGで描いたりしていた。今これをAIに全部描き直してもらおうかなどと考えていたのだが、全然ダメだ。元絵があるからそれをAIに見せれば描けるかと思ったが、元絵があるからこそ全然気に入るようにならない。まず、キャラクターの顔が固まらない。毎回違う顔になる。だんだん設定がズレていく。丸椅子が四角い椅子に変わったりする。夢の中ではよくある話だ。とにかく全然ダメ。

word文書 (.docx) を pタグと rubyタグだけのシンプルな html に変換したいと思った。そうすれば wordpress の html 編集でそのままもってこれるからだ。gemini に頼んでも chatgpt に頼んでもできるという。ネットでググってもできるという記事しかないが、全然出来ない。たったこれだけのことがいまだにできない。もしかすると1文字ずつルビがふってある場合はルビと認識できるのかもしれない。2文字以上まとめてふってあるとルビとして認識できないとかなんかそういうややこしい事情があって、できるものもあればできないものもある、.docx からコピペしただけでできるときもあればできないときもあるという、できるんだかできないんだかどっちでもない状態。AIも同じだ。できるんだかできないんだかどっちかよくわからん状態。

もうほとほといやになった。あと数年もすれば、或いは十分に課金すれば、遼子を映像化できるんじゃないかという期待もあったが、今は文字作品としての完成度を上げることに集中して寝かせておこうと考えている(完璧な小説を書いておけばそのうち誰かが映像化してくれるかもしれない。自分で見ることはできなくとも)。もう60才を過ぎたので、今から新しいことを一から始めるよりも、今まで作ってきたものを保全して完成に近づけるだけで手一杯だ。2013年頃に戻ってしまった。

rubyタグを使っているのは日本人くらいなのだろう。だからいつまでたってもバグがとれない。AIもまじめに取り組まない。やれやれ。

AIというものを相手にしてみて、監督というものはずいぶん厄介な仕事なんだろうなと思い至ったりもした。

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